Story

2022年12月1日グランドオープン CAMPER新宿フラッグス
デザイナー熊野 亘がストア作りに込めた想い

2022年12月1日グランドオープン CAMPER新宿フラッグス<br>デザイナー熊野 亘がストア作りに込めた想い



2022年12月1日にリニューアルを経てグランドオープンするCAMPER 新宿フラッグス。
この度、カンペールのコラボレーションプロジェクト“Together Store”の基、国際的に活躍するプロダクトデザイナー熊野亘が手掛けるショップ空間に生まれ変わりました。

「新宿駅という様々な人々が行き交う中で、自分だけが発見したと思えるような特別なお店になってほしい」そんな思いが込められたストア作りの全貌を、門前仲町に佇む熊野氏のオフィスにてインタビューしました。


2022年12月1日グランドオープン CAMPER新宿フラッグス<br>デザイナー熊野 亘がストア作りに込めた想い





熊野 亘(WATARU KUMANO)
プロダクトデザイナー。2001-08年にフィンランドへ留学、帰国後Jasper Morrison氏に師事。2011年にデザインオフィス” kumano “を設立し、環境、機能性、地域性など、背景のあるデザインをテーマにカリモクや、天童木工などの国内外の家具メーカーとプロジェクトを手掛ける。2021年にスイスのローザンヌ州立美術学校(ECAL)にて教鞭をとり、同年秋より武蔵野美術大学准教授に就任。



CAMPER TOGETHER=カンペール・トゥギャザー
芸術・ファッション、建築の世界で国際的に活躍するデザイナーとカンペールがタッグを組みエクスクルーシブな商品やユニークなショップデザインを作り出すコラボレーション・プロジェクトです。 このプロジェクトによって世界中に誕生しているショップ“Together store”では、店舗ごとに異なる個性豊かな空間をお楽しみいただけます。

CAMPER TOGETHERhttps://www.camper.com/ja_JP/together



カンペールとの出会い

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ー現在の活動内容を教えてください
主にプロダクトデザイナーとして活動する傍ら、今回のようなインテリアデザインのプロジェクトにも携わっています。また去年より武蔵野美術大学の工芸工学デザイン学科、木工専攻にて准教授を務めています。日本の木工デザインを世界に打ち出していけるような生徒を育成するプログラムを組んでいます。

オフィスは東京の門前仲町、生活拠点は長野の御代田町と2拠点で活動しています。
御代田町は生活の場でもあり、東京ではできないことを実現できる場でもあります。東京は刺激的な人が多く、良い場所なのですが私にとっては発表やビジネスの場です。御代田町は土地も広いので、いろいろなもの作ってみて試してみることができます。

家具をデザインすることが多いので、生活しながら色々なプロダクトを試して、機能面や空間でどのような雰囲気を作り出すことができるかを実験してみたりしています。

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長野県 御代田町


ー東京のオフィスも素敵な空間ですね
2001年から2008年まで7年間フィンランドへ留学後、帰国し、ジャスパー・モリソンのアシスタントデザイナーとして、この東京のオフィスで10年間一緒に仕事をし、その後独立しました。
ジャスパーは現在イギリスを本拠地に活動していますが、このオフィスは師匠のもとで切磋琢磨した時間が残る大切な空間です。緊張感があり、ここに帰ってきて集中して仕事することは私にとって大事なこと。この場所で仕事をすることでジャスパーから学んだことを継承し続けていきたいと思っています。


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門前仲町に佇む熊野氏のオフィス


ーCAMPERにはどのような印象がありましたか?
カンペールを知ったのはすごく前のこと。元々両親がすごく好きで、父が海外出張に行ったときはいつもカンペールの靴が母へのお土産でした。当時からその軽さ、デザイン性、機能性とバランスの良さが印象にありました。


ー師匠でもあるジャスパー・モリソン氏もカンペールと幾度かコラボレーションをしていましたが、今回のプロジェクト以前にCAMPERとの接点はありましたか?
ジャスパーがNYソーホーのCAMPER店舗をデザインしていた際は私も案件に関わっていたため、実際にNYに行って現地のチームと一緒に店舗作りをしました。

またジャスパーがシューズのコラボをした際は担当には入っていなかったものの、彼から色々と話は聞いていました。一番印象的だったのは、彼がマヨルカまでシューズのアーカイブを見に行ってその中からカンペールの始まりとなった靴をモデルにリデザインをしたというエピソードです。
歴史を重んじているブランドであるということにすごく感銘を受けたのを今でも覚えています。

デザイナーの仕事として古くからあったものを今の生活に合うようにアップデートして歴史を繋いでいくことが重要だと考えるジャスパーの思想ともフィットしていたと思います。
常に刺激を受けているブランドなので、CAMPERから今回のストアデザインのオファーをいただいた際は非常に光栄でした。


2022年12月1日グランドオープン CAMPER新宿フラッグス<br>デザイナー熊野 亘がストア作りに込めた想い

CAMPER×Jasper Morrison Shoes


STORE DESIGN

ー今回のストアデザインのコンセプトを教えてください
コンセプトは“Behind the wall” 大きな窓ガラス面にあえて壁を立てました。外から見たときは壁のロゴでカンペールの存在をアピールしつつも中の様子がすべて見えないようにすることで、壁の向こうに面白そうな空間がありそうだなと想像するような印象に。店内はショッピングを楽しみ、物の良さを感じられるような空間作りを意識しました。


ーこだわりのポイントを教えてください
インテリアのデザインを構築する上で重要なのが家具。空間の環境をとらえつつ、箱作りをしてその中で自分がデザインした家具を上手く配置させています。

什器にもこだわりました。
靴の什器は、床、椅子、テーブルの上など生活の中での高さを意識して見てもらえるように生活に根差した寸法にすることを大切にしています。

バッグには壁面に吊るせる什器を製作。壁を可変性にしてどのようなデザインのバッグがディスプレイされても綺麗に見えるよう工夫しています。

店内には外に使うような外壁を使用したり、砂利なども敷いています。
当初、床はコンクリートの打ちっぱなしを考えていたのですが、割れてくる可能性があったので、割れにくく、経年劣化しない素材を探していたところ、外用の素材で砂利を固めたようなものにたどり着きました。靴は外で履くものなので、試着したときに外での感触も確かめられることも好都合だと考えました。

また一度マヨルカに行ったことがあるのですが、乾燥した赤っぽい土が多かったことを覚えていて、その感じをショップでも間接的に表現してみました。


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ー新宿エリアのロケーションからのインスピレーションがあればお聞かせください。
駅のあの裏側には何があるのだろう。新宿駅という様々な人々が行き交う中で自分だけが発見したお店という思いになれるような空間でありたいと思っています。
日差しが強いので商品が日に焼けないようになど機能面も考えつつ、お客さんが来てよかったなと思えるような空間を意識しました。

ー苦労した点を教えてください
リサイクルされないもの、地球になじまないもの、フェイクな素材を使うことがないように意識し、本物で循環型な素材を使うために、イメージに合うもので且つ、目指した素材を探すことが大変でした。色や質感、触感すべてにおいてバランスの良い素材を探すよう意識しました。


ーCAMPERが大切にしているサステビリティへの取り組みを踏まえて、配慮した点を教えてください。
インテリアには「升」をモチーフにしたカリモク家具の「MAS」を採用しています。
日本は森林率国、世界第二位の国です。

戦前は木造の家が多く、植林も盛んに行われていましたが、外国の文化が入ってきて家の造り方も変わり、木が段々と使われなくなってきました。しかし森は木をきちんと切ってあげないと土が肥えていってしまいます。カリモクはそういった問題に着眼し、循環させることを目的に木を使用し家具を作るプロジェクトに取り組んでいます。

日本は植林が多く、針葉樹系の植林が多いのですが、針葉樹は柔らかく家具にするには弱いという問題があります。そこにカリモクの技術を入れて、広葉樹を補強目的に混ぜることで針葉樹を用いた家具を作っています。それが今回使用している「MAS」です。通常は白さが特徴的なヒノキを使用していますが、今回はカンペールの故郷・スペインらしさを感じられるよう、濃い色味を持つ広葉樹を採用しています。

この循環の理念はカンペールの取り組みにも似ていると思います。
スツールやベンチにもなる可変式シェルフを特注で製作しました。色々な状況に合わせて配置することができるようにしています。

またいつもプロダクトデザインするときにはユーザーフレンドリー、マニュファクチャーフレンドリーであることに配慮しています。
自分のエゴだけでなく、使う人、作る人、デザインする人、3者みんなが満足するようなものをデザインしていかなければならないと考えています。


PRODUCT DESIGN「Soga」


ー今回デザインされたバッグ「Soga(ソーガ)」のコンセプトを教えてください
御代田町と東京を行き来する中で、どういうバッグがあったらいいかなと実際のユーザー目線で考え、生活の中の一つの道具としてそれぞれデザインしました。

バックパック
移動するときに便利なバッグとして大きくもなく小さくもない適度な大きさにデザインしました。1晩分の荷物、パソコンも入るようなサイズ感にしています。

ショルダーバッグ
長野は温泉が多いので、温泉行くときに着替え等を入れられるようにイメージしています。女性でも男性でも使えるユニセックスなデザインにしました。

トートバッグ
長野は産直の野菜が美味しいので、マルシェで買ったねぎや大根を入れられるようなマーケットバッグをイメージしています。野菜を入れると重くなるので、しっかりとした作りにしています。

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ーこだわりのポイントを教えてください
ロープにコレクションとして共通項を持たせています。
コレクション名「Soga(ソーガ)」はスペイン語でロープを意味します。

ロープには握る、持つ、結ぶとバッグを使う上での行為が凝縮されており、パーツは手の触れるもので、一番持った時にクオリティを感じるところだと思っています。脇役になりがちなものをメインとしてデザインしてパーツの良さを伝えたいと考えました。

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ーサステナブルに配慮したポイントはありますか?
バックパックのボタンはプラスティックとホタテ殻から取れた樹脂を混ぜたものでできています。
知り合った東大阪の樹脂会社の若手社長が、北海道で卵の殻と同じくらいホタテの殻が廃棄されていることを知り、その使い道を研究している姿に感銘を受けて何か一緒にできることはないかと模索していく中で、カンペールのサステナブルな取り組みにも親和性があると感じ、このプロジェクトでの採用を決めました。

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モノづくりに対する想い

2022年12月1日グランドオープン CAMPER新宿フラッグス<br>デザイナー熊野 亘がストア作りに込めた想い
ーモノづくりをする上で大切にしている言葉はありますか?

Think global, act local

デザイナーのバックミンスター・フラー 提唱


グローバルに物事を思考しながらローカルでじっくりとアクトすることが重要。 あまりにもグローバルになりすぎて地方の文化が均一化されると旅をしても面白くなく、文化が残っていることがデザインでも生活でも大事だと思っています。 ローカルでアクトしながら、色々な人を招き入れて、自分も訪れる、交互の刺激しながら地球のことも考えてモノづくりを続けていきたいです。

Interview photography:Takafumi Matsumura



CAMPER 新宿フラッグス

営業時間:11:00-21:00
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-37-1 Flags 3F
03-3225-6084
(2022年12月1日 リニューアルオープン)